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笹山弁護士の労働相談

その25

質問

「休日、病棟が落ち着いていて入院患者さんが少なかったので、午後から日勤者を1人休ませました。ところが日勤終了間近になって緊急入院があり超過勤務になりました。緊急入院を担当した2人が超勤申請をしたところ、一人休ませているのに認められないと言われてしまいました。こんなことありなんでしょうか。」

 

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答え

全くあり得ません。なんでこんなことがまかり通るのか、理解に苦しみます。

 「日勤者を1人休ませた」ことと、「超勤を認めるかどうか」とは、法律論として全く無関係です。労基法37条1項は、法定の労働時間を超えた就労があった場合、その時間について割増賃金の支払いを使用者の義務として定めています。

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ここでは、実態として、法定の労働時間を超えた就労があったかどうかだけが問題。これは裁判実務上確立した取扱いです。したがって「日勤者を1人休ませたのだから超勤は認められない」なる言い分を裁判官が聞いたら、鼻で笑うでしょう。

 では、日勤者が1人休んだら、もしその人が勤務していたならできたであろう仕事は全て残るメンバー全員で引き受けました、休んだ後東日本大震災のような事態が発生した場合でも、全て自分たちの責任で引き受け超勤にならなくても結構です、という約束でも存在するでしょうか?そんな約束がまかり通るなら、うっかり年休をとることもできませんね。

年休をとることで、同じシフトに参加している全員に迷惑をかけるかもしれませんから。

 労働者は、自分の業務に誠実に従事すればよいのであって、これは経営的にどうなのかなどと心配する必要は全くありません。

日勤を1人休ませたことによって生じるかもしれない超勤手当のリスクを心配するのは、病院経営の仕事です。労働者は、いかなる場合でも、法が定める権利は堂々と主張してよいのです。

                              以 上

 

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